肩関節周囲炎

特徴

江戸時代の頃から「五十肩」「五十腕」「長命病」等と呼ばれ、年齢・疼痛・運動制限等を特徴とした病態として認識されていました。一般的に50歳前後に生じることから、近年でも「四十肩」「五十肩」と呼ばれており、疾患の概念としては現在においても確立されていません。

症状

肩関節の周囲に痛みを認め、関節の動きが悪くなります。日常生活では髪を結んだり、洋服を着替えたりする動作において困難を認めることが多い傾向があります。また、高いものをとる動作や洗濯物を干す動作にも影響が出る傾向があります。夜寝る時や寝返りにより痛みが生じ、不眠になることもあります。

原因と病態

様々な病態があります。関節を構成する骨や軟骨、靭帯、腱等が年齢とともに傷んできて、肩関節の周囲組織に炎症等が起こることが主な原因であると考えられています。また、関節の袋(関節包)や関節の動きをよくする袋(滑液包)が癒着すると痛みと関節可動域の制限がさらに悪化する傾向があります。

リハビリテーション

痛みの生じない範囲での関節可動域訓練から開始します。炎症等による強い痛みが軽減してきたら関節拘縮に対するストレッチングやモビライゼーションを実施します。不動期間による筋力低下に対しては痛みの生じない範囲で筋力トレーニングを実施します。痛みを回避する不自然な動きを繰り返していると、肩関節周囲の筋緊張が高くなったり不自然な動かし方を学習してしまうため、筋緊張を緩和させるために物理療法を実施したり、運動の再学習を実施します。